今回は、知っている人は知っている「ミトコンドリア」についてです。
ミトコンドリアに関しては細かい話をしだすと専門的になってしまうので、今回は概要を書いていきます。
でも少し詳しい所まで説明しないとミトコンドリアのすごさが伝わらないので、そこそこには書きます^^
ミトコンドリアは人間の健康、いや生命に密接に関係しています。
私たちは無意識に息をしていますが、ミトコンドリアがなければ息も出来ません。(酸素をエネルギーに変えられません)
ミトコンドリアが減ったり働きが悪いと様々な病気の原因になります。
そんなミトコンドリアと健康の話、いってみましょう。
ミトコンドリアとは何ぞや
ミトコンドリアって知ってる?というと「あの緑色のやつ?」という反応が多いです。
絵で描かれるときに緑色にされることが多いので、そのせいかなと思っていましたが、どうもミドリムシと混同している人も多いようです。
ミトコンドリアとミドリムシは全くの別物です!
ミトコンドリアは一般的には「真核生物の細胞小器官」と言われますが、これじゃ分からないですよね(笑)
箇条書きで、かいつまんで説明すると
- 人間の細胞は約60兆個ある
- その細胞一つ一つに300~数千のミトコンドリアが存在している(1人分の数の単位は、兆の次の京)
- 酸素も他の栄養素もエネルギーに変換できる(莫大なエネルギー)
- 老化・加齢臭・肥満・認知症などと密接に関係
です。まだまだ書ききれませんが、概要はこんな感じです。
これだけでもミトコンドリアが人間の体にどれほど影響しているか感じてもらえると思います。
生物にとって酸素は猛毒だった!?
少し昔話になりますが、ミトコンドリアを理解するために「どのようにして生物が進化してきたか」を簡単に説明しますね。
細菌のような「原核生物(げんかくせいぶつ)」の時代は、食べて細胞分裂を繰り返す、ことしか出来ませんでした。
原核生物にとって酸素は猛毒です。私たちには信じられませんが、酸素があると生きていけないのです。
そのうち酸素を好む細菌(好気性細菌)が現れます。
酸素をエネルギーにできるのです。
そして原核生物の中で、酸素をエネルギーに変えられる好気性細菌を取り込む生物が現れました。
これを真核生物(しんかくせいぶつ)と言います。
酸素をエネルギーにできない生物は、糖を分解してエネルギーに変えていました。
酸素をエネルギーにすることができる真核生物は、糖のみよりも莫大な(本当に莫大な)エネルギーを作り出すことができるようになり、体もどんどん大きくなっていきました。
ミトコンドリアの祖先は好気性細菌と言われています。
人間の細胞一つ一つで300~数千のミトコンドリアが働いています。そして酸素や糖質、たん白質、脂質など様々なものをエネルギーに変えてくれています。
私たちが息を吸って酸素を取り込んで動けているのも、ミトコンドリアのおかげなんです。
エネルギーの生み出し方
人間の体でエネルギーを生み出すために、2つの方法があります。
一つは「解糖系(かいとうけい)」。もう一つは「ミトコンドリア系」です。
解糖系というのは、糖質(ブドウ糖)をエネルギーに変換します。
血液を通してブドウ糖が細胞に運ばれると「解糖系」の働きでエネルギーに変換されます。
解糖系は、非常に素早くエネルギーに変換してくれますが、そのエネルギー生産量は少ないです。すぐに枯渇してしまいます。(12時間でゼロになると言われています)
ミトコンドリア系は上でも書きました通り、糖質(ブドウ糖)、脂肪酸、たん白質(アミノ酸)、酸素など何でもエネルギーに変えることができます。
エネルギー生産量は莫大ですが、解糖系よりも時間がかかります。でもエネルギーは長持ちします。
解糖系は「たき火」で、ミトコンドリア系は「工場」と例えると分かりやすいかもしれません。
激しい筋トレや短距離走をしたときに、息が切れてハァハァなると思いますが、解糖系でのエネルギーが足りずミトコンドリアに酸素を送ってエネルギーの材料にしようとしているんですね。
人間は食べ物に加え、酸素も大切なエネルギーにしていることがわかります。
※そういう意味でも、呼吸は非常に大切です。呼吸が浅いと体にいろいろな悪影響が起こります。
酸素をエネルギーにするということ
こうして生き物は進化して体を大きくし、陸上で生活できるようになったのですが、その代償もあります。
それは「酸化」です。つまり老いるということです。
活性酸素という言葉を聞いたことはあると思いますが、酸素をエネルギーにしている生物はどうしてもこの活性酸素が体内で発生します。
活性酸素は悪者のように言われがちですが、体には必要なこと(免疫機能を果たす)もします。
しかし大量に活性酸素が発生してしまうと老化(シミ・そばかす・しわ)はもちろん、動脈硬化や糖尿病、ガンなどの原因にもなります。
一般的に活性酸素の原因は
- 紫外線
- たばこ
- 激しいスポーツ
- ストレス
- 加工食品や食品添加物の摂取
と言われています。
ミトコンドリアの機能不全も大きな要因の一つです。ミトコンドリアが活性酸素を発生させるのですから。
ミトコンドリアのエネルギー生産量が減り、活性酸素を出す量が増えたら・・・考えただけでも怖いですね。。。
ミトコンドリアが喜ぶ生活
ミトコンドリアのこと、少しずつ分かってきましたか?
ミトコンドリアを元気にしていきたいですよね!?
(ミトコンドリアが死んだときに人間も死ぬ、とまで言われます。実際そうなんですけど。)
ここではミトコンドリアが喜ぶ生活を考えていきます。
基本的には「食事と運動と休息」という単純な話ですので安心してください。
まずは糖質(特に精製された食べ物)は減らしてください。糖質のドカ食いはミトコンドリア以前にいろんな意味でヤバいです。
人間の体はまず糖質をエネルギーに変えます。つまり解糖系ですね。
常に息をして酸素を取り入れているのでミトコンドリア系も動いていますが、フル稼働とまではいきません。
糖質がなくなればミトコンドリア系の活動が盛んになります。
そうです、糖質制限をすることはミトコンドリア系を優位にするといっても構わないのです。
ミトコンドリア系が優位になると、体力も長持ちし、脂肪酸もエネルギーにするのでダイエット(メタボ対策)にも有効ですね。
そしてミトコンドリアの動きを良くするにはビタミンB系が大切です。
あと活性酸素を吸収してくれる「ファイトケミカル」も気にして摂取してください。
次に運動です。
ミトコンドリアは体全体の細胞にいますが、約8割は筋肉に集中しています。
筋肉の中でも「遅筋」に多く存在しています。
遅筋とは「素早く収縮はできないが、長い間疲れない」筋肉です。
その逆で速筋とは「素早く収縮できるが、持久力がない」筋肉です。
ミトコンドリアの動きを良くする(数を増やすことを含む)には、遅筋を鍛えることが有効です。
ゆったりとしたジョギングがおススメですね。歩くよりはゆっくりでいいから走った方が良い。
最後に休息です。
この休息というのは「食べて寝る」ではなくて、どちらかというと「食べないで寝る」です。(本当に食べないと生きていけないので気を付けて下さい笑)
「食べないで」というのは腸などの消化器官を休ませるという意味でも重要です。
1日3食しっかり食べると、それを消化・吸収するだけでフルマラソンを走りきるのと同じくらいのエネルギーが必要と言います。
糖質制限することは大事だと思いますが、消化に良い食べ物を選択することも大切ということですね。
私は1日2食で、昼は軽めです。(糖質はほぼゼロ)
夜は20時までにおなかいっぱい食べます。糖質はあまり食べません。お寿司好きなのでたまに食べますが・・・
20時から翌日のお昼までの約15~16時間は、水かコーヒーしか摂りません。
この空腹の時間がミトコンドリアを活性化してくれます。間食は減らした方が良いです。
腸にもよいですよ!休まるので。
でもその分、お昼に食べるものは良く吸収するので昼食には十分注意してください。
(糖質のドカ食いや食品添加物がたっぷり入った物は控えて下さいね)
腸内細菌・油・糖質制限
人間の体は複雑です。まだまだ分からないことが沢山あります。(ありすぎます)
細かいところを見ていくのではなく、まずは人が生きていくための基本的な栄養素の流れを理解しておいた方が良いでしょう。
影響力の大きいところから押さえていく。
「バランスが良い食事」という言葉がありますが、決して「糖質60:タンパク質20:脂質20」というような一般論ではなく、個人個人で体は違いますし、なりたい体・やりたい運動・改善したい体調はさらに違います。
だからこそ、この大きな流れ
- 何をいつ食べて
- どのように消化(分解)され
- どのように体にいきわたり吸収されエネルギーを生み出し
- どのように排泄されるのか
をしっかり理解することが大切です。
つまり「代謝」について理解していくことです。
この成分は体に良い!
これの食べすぎは良くない!
というようなことも大切でないとは思いませんが、体全体を見た時に「影響が大きいところ」を押さえた後でよいと思っています。
「木を見て森を見ず」になってしまうと、いろいろやってみたけどうまくいかない、ということになりがちです。
そのような意味で
- 糖質を摂りすぎない
- 消化・吸収する腸内環境を良くする
- 細胞膜の材料である油に気を付ける
- 運動不足に注意する(水分もしっかり補給)
を「まずは」しっかりやって行きたいですね。
ミトコンドリアのことを考えて生活をするということは、自分の健康のことを考えているのと同じと思っても良いと思います!